長めのやつ

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最近父親の夢を見る

最近実家の夢を見る頻度が増えた。実家のかつて現実にあったシーンではなくて、実家的な場所で、父親と母親と私がいて、私が父親のことを好いていないことが明らかになって、父親はショックを受け、私はそうだよ気づいていなかったの?!あんなことしておいて被害者面だなんて笑わせてくれるねという内容を言って追い打ちをかける、というような内容。あくまで私の妄想の中だけの内容なのだが、この夢を見るとすごくすっきりした気持ちで目が覚める。

この夢を見るようになったきっかけは、水谷さるころさんの漫画だ。夫が些細なことで自分の感情をコントロールできなくなり、キレたり不機嫌になったり息子に手が出たりという状態で、カウンセリングを通じて自覚を促して自分を見つめなおすというような内容。それを読んで私は自分の父親を思い出したのだ。ちょっとしたこと(自分が理解できない、自分の善意が伝わらない等)で突然怒り出して喚き散らしたり物に当たったりする私の父親。

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水谷さんの配偶者と同様に、私の父親も「悪い人」ではないのだ。私の父親は家事に協力的でこそなかったが、私たち子供のことを非常に案じてくれ、特に教育面においては熱心で、父親の指導や助言があってこそ私は受験で困らずにここまでやってきたと思う。しかし一方で家庭内に恐怖心と暴力による支配は確かにあり、私はどうしても父親を慕うという気持ちにはなれない。

私も妹も大学進学を機に実家を離れた。母からの話では、最近はカッとなることは非常に少なくなったらしい。実家にいたころからうすうす感じていたが、父親が怒り狂っていた原因は子供の存在ではないだろうか。予定外に体調を崩したり夜中に泣いたり、予想外の動きをして自ら危険に飛び込み、丁寧に説明しても理解をしない、アンコントロールな存在、子供。母親に昔「なぜこのようなカッとなって暴力を振るう男と結婚したのか?」と尋ねたことがある。母親は「結婚するまでそう思わなかったんだよね」と言っていた。両親はデキ婚らしいので、つまり子供ができる前まではそうではなかったのだろう。

絶対に自分の育ったような家庭は作らないぞと思って、自分のパートナーにはキレない、暴力を振るわない男を選んだ。たまに喧嘩をした際にはカッとなって声を荒げた自分に父親の片鱗をみつけてゾッとした。そういう血が流れているのかと思ったこともあったけど、今のところさほど言い争うこともなく過ごしている。怒って解決することはこの世に少ないし、怒らなくても言葉を尽くして少し待てば大体の内容は伝わる。

しかし、もしかして、子供ができたら、怒って伝えることが最短の解決になることもあるのだろうか?言葉を尽くして説明しても伝わらない相手には怒るしかないのだろうか?もしかしたら危険な行動をやめさせるには激しく怒ってみせるしかないこともあるのかもしれない。たしかに父親が激しい口調で注意したことで私は何かを口に咥えて歩いたりしなくなって、それは安全につながったと思う。

とはいえ、父親のやり方が正しかったとは思えない。数学を理解しなかったからといって、目の前で鉛筆を折ったりする必要があったか?そんなわけないと思う。なぜ鉛筆を折ったり机を大きな音を出して叩いて怖がらせる必要があるのか、当時父親に聞いたことがある(もちろん私は冷静な状態ではなく泣きながら、そういう脅すようなことはやめてくれ、という文脈で)。父親は「怒りに任せてそうしているわけではない。教育上そのほうが効果的だと思うから」みたいなことを言っていた。本気で言っているのか?当時も今もそういう感想しか出てこない。

机上の勉学において暴力を見せつけることは、私からは父がイライラを発散するためにやったことにしか見えなかったのだが、なぜもっともらしい理由をつけてそうではないと言うのだろうか。
イライラの発散に暴力を使うのはさすがにまずいと思って嘘をついているのかと当初は思ったが、そういうわけではなく、どうやら本気で言っているみたいだった。
もしかして自分がイライラをコントロールできないこと自体を自覚できていないのかもしれない。暴力に至るプロセスをリアルタイムには自覚できないので、後付けで理由を考えた結果、もっともらしい理由がついてしまうのかもしれない。
あるいは、本当に「冷静に判断した結果、教育上の効果を狙って、暴力を見せつけた」のかもしれない。それならば和解の道はない。もしそうであれば、彼は冷静に判断した結果、子供に永遠に嫌われる道を自分で選んだわけだ。いや、自分が嫌われることと引き換えに子供の学力を取ってくれたのだろうか?そのような覚悟であれば称賛するしかないが、おそらくそんなことはないだろう。いずれにせよそんなことは暴力を見せつける正当な理由ではないと私は思う。

 

夢の中で私が父親に面と向かって「あなたのことは永遠に好きになれない」ということには一体どのような意味があるのだろうか。ちなみに現実世界でそういうことを言ったことはない。そう言うとすっきりするというということは、言うべきではないという意識がどこかにあるのだろうか。まあ私が言って去った後の実家の平和を考えると確かに言うべきではない。言って思い知らせてやりたいみたいな気持ちもどこかにある気がする。お前は子育ては成功しすべて円満に終了したと思っているかもしれないがとんでもない、こちらには禍根が残っているぞ、と。父親に過去のことを悔いてほしいという気持ちはあるが、まあ言ったからといって現状(今は落ち着いているらしいので)なにか良くなるという類のものではないから、夢で言って私がスッキリするくらいがちょうどいいのかもしれない。